きもの男子通信

竺仙さんの「男物きもの」

浴衣や江戸小紋で有名な竺仙さんのサイトに「男物きもの」というページができていました。
http://www.chikusen.co.jp/product/season/mens.php

読んでみると、一番最初に以下の文章が。
「昔から男物のきものはお召か紬の先染め(糸染)と決まっており後染(生地の上から柄を染めあげる)きものは芸人さんのお召しになるものと言われておりました。」

・・・って、竺仙さんは基本染物のお店なのでは。

そして、その後は、以下のように続いています、
「そこでこの度男性がお召しになっても派手さの無い渋味のある着物を染めあげてみました。」

サイトに紹介されている男物は江戸好みの渋いもので、竺仙さんとしては「満を持して男物を発表」ってことなんだと思うけど、売る立場の竺仙さんが、「後染めのきものは芸人さんのお召しになるもの言われておりました」とまでいうのを読むと、やっぱり「あー、やっぱり男で染の着物って難しいんだな」って思う人もいるのでは。

自分が作っているのに、男性に素直に染めの着物を勧められない、竺仙さんの不器用さというか正直さ!

江戸っ子は、大変です。

竺仙さんの染めの男もの、個人的には、紬の長着の上に羽織として着ると、いいのでは、と思います。 (素材は縮緬です。)

特に堅めの紬だと、お対にすると、ちょっと厚ぼったくなるので、羽織を染めの着物にするとちょうどいいのでは。羽織が柔らかくても下が堅いと、なんというか、あまりなよなよした感じにはならないと思います。

※にほんブログ村というランキングに参加しています。今回の記事、面白いと思われたら、下のボタンのクリックをお願いします。

にほんブログ村 ファッションブログ 男性着物・和装へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

道明のネクタイ@伊勢丹メンズ館

上野池之端の「道明」は、帯締めや羽織紐で有名な組紐のお店です。
その「道明」が新宿伊勢丹メンズ会で、ネクタイを売るという催しがあり、組紐作りの実演もあるとのことなので、行ってきました。

道明は1652年創業で、江戸時代は刀の下緒などを主に取扱っていたそう。
明治期以降は帯締、羽織紐を主に取り扱っています。
ちなみに、組紐が、帯締めとして使われるようなったのは、結構新しくて、明治以降。
白洲正子さんの本によると、白洲さんのお母様や九条武子さんが組紐を帯締めにするのを流行らせたそう。

今も、「帯締めは絶対道明」、という人は多いみたい。
関西からも買いにくる人がいるそうです。

自分も、道明の羽織紐をいくつか持っています。
最初に買ったのは、紺地に茶色のドットになっているもの。凝ったものなので、値段も3万円以上しました。
(その頃は着物について、かなり頑張っていた。)

せっかくなので、最近よく着ているこげ茶の結城紬のお対に、多分15年ぶりくらいにその羽織紐を付けて、伊勢丹へ。



一階のネクタイ売り場には、組紐を作るための組台が置かれていて、職人さんが組紐をつくっていました。私が近づくと、がたがたっと組台から降りてきて、それは「それはこちらの家康の助真の拵ですね」と一言。助真というのは、徳川家康が持っていた刀の名前だそうです。(今は日興東照宮の神宝として伝来しているとのこと。)
その刀に使われている紐と同じ組み方の紐だと言うことです。
ネットで調べてみると、「助真」の説明に
「下絡は本来茶と紺の打まぜ目一の口が添えてあったが、現在は紺糸の部分だけがわずかに残っている。」
とありました。
参考「とちぎの文化財」http://www.tochigi-edu.ed.jp/center/bunkazai/1113001.htm

なるほど・・・

伊勢丹の売り場には、「道明」の当代(お若い)とお母様も見えられていました。
色々お話をお聞きしたところ、池之端のお店は建て直されたそう。(あとでネットで調べたら、とてもモダンなビルになっていました。)

ネクタイは、普通の長いのと、ボウタイ(蝶ネクタイ)があります。
私は、ボウタイの方が立体的なので、組紐の良さが生かされる気がしました。
形も指で調節できるし、かなりいいと思う。

自分の羽織紐と同じ配色のボウタイを購入!



今度、付けてみます。

※にほんブログ村というランキングに参加しています。今回の記事、面白いと思われたら、下のボタンのクリックをお願いします。

にほんブログ村 ファッションブログ 男性着物・和装へ
にほんブログ村

能 友枝明世の会「三輪」神遊@国立能楽堂

能楽師、友枝明世(ともえだあきよ)さんがシテ(主役)をつとめるお能「三輪(みわ)」を観てきました。


明世さんは超人気、ということは前から聞いていたのですが、「きっとチケット取れないだろう」と思って、一度も行ったことがありませんでした。
ところが、今回公演の数週間前に事務所に電話してみると、チケットがほんの少し残っていたのでした。
良かった!

さて、お話は・・・

奈良の三輪山に住むお坊さんのところに、毎日仏様に供える木とお水を持ってくる女の人がいました。
ある日、その人がお坊さんに「夜寒いので衣をください」と頼みます。
お坊さんが、住まいを尋ねると、「三輪の山の麓の杉の木の立っているところです」といって消えてしまいます。
その後、村人がお坊さんに「三輪山の杉の神木にお坊さんの衣がかかっていた」と知らせにきます。
お坊さんが、そこに行ってみると杉の木の陰から三輪の神様(女神です)が現れ、三輪の神様の伝説を舞ったあと、今度は天照大御神の天岩戸のお話を舞います・・・

明世さんは、最初の謎の女性(前シテ)と後半の神様(後シテ)の役です。
前半は、お能にはよくありますが、なんというか、さみしげな感じ。
途中の登場する村人が登場するところは、狂言の人(人間国宝の山本東次郎さん)が演じているせいか、普通のお能よりもリアル(?)な感じがしました。
そして、いよいよ舞台に置かれた杉の木に見立てられた作り物(木の枠に布を掛けたもの)から神様が登場。
この神様は、女性のお面に烏帽子、白い単衣の狩衣に赤い大きな袴(大口)という姿・・・つまり男装なのです。
この姿が、清らかで美しい!
これまでの(色々不思議なことは起きていたが)現実の世界から、別の世界へ。

三輪の山の神様の伝説を舞っている時は「自然界の精霊」という感じです。
次に、天岩戸の舞いに移り、まずはアマノウズメとして神楽を踊ります。そして、橋懸かりを渡って、左端まで行くと左腕を挙げ袖を翻し(「翁の型」というのだそう。お能の「翁」の人形に良くあるポーズです)、さーっと舞台に戻ってきて、こんどは天照大御神になってさらに高次元の世界へ。

普通、舞台に神様が登場しても、なかなか本当に神様と思うのは難しい・・・というかほとんど無理だと思うけど、今回は「あ、神様がいる」と納得した。

それは、以前、御殿場の方に行ったとき、大きな富士山を見て、「日本が戦争に負けるはずがない」と思ったのと同じ感じ。それと同じように、「これは神様なんだ」と思った。理屈抜きってことです。

今まで、実は、「お能って、お能を習ってない人が見てもあまり面白くないんじゃないかな」と思ってた。
でも、今回の「三輪」はお能を全く知らない人が観ても「神様を見た」と思ったに違いない。

あと「神遊」(かみあそび)というのは、三輪の小書(こがき:各流に伝わる演出方法)の一つで、先ほどの装束や翁の型などは、それによるそうです。

※にほんブログ村というランキングに参加しています。今回の記事、面白いと思われたら、下のボタンのクリックをお願いします。

にほんブログ村 ファッションブログ 男性着物・和装へ
にほんブログ村


歌舞伎座で着たきもの・・・結城紬

二月の歌舞伎座は、とてもいい席だったので、久々に着物で行ってきました。


結城紬のアンサンブルです。

帯はいつも締めてる紋博多。
草履は、浅草の長谷川商店の紺のエクシール(人口スエード)。何色もある見本からオーダーできます。
バッグはずっと前に千歳空港の売店で買ったもの。

写真を見た人から「裄がちょっと短いんじゃない?」と言われたけど、まあ、許容範囲ということで。
というか、 最近の着物の仕立ては裄が長めですが、 本当はこれくらい短い方が好きかも。
そしたら丈もすこし短めの方がバランスがいいかも。

※にほんブログ村というランキングに参加しています。今回の記事、面白いと思われたら、下のボタンのクリックをお願いします。

にほんブログ村 ファッションブログ 男性着物・和装へ
にほんブログ村


菊五郎さん、すばらしかつた!四千両小判梅葉@猿若祭二月歌舞伎座

四千両小判梅葉は、黙阿弥作の白波(泥棒)物。

安政2年(1855年)に起きた、江戸城の御金蔵から四千両が盗み出された実話を元にしています。

なので、江戸時代だったら上演は無理ですが、明治18年の作品なので、登場人物の名前も実名だそう。
そして、明治の作品だからこそ、より「江戸情緒」にあふれている気がします。

最初の場面は、四谷見附の門外、お堀端のおでんの屋台。屋台の亭主は富蔵(菊五郎さん)。
そこに浪人、藤十郎(梅玉さん)が通りがかかる。この人、遊女に入れあげていて、お金に困り、この遊女を身請けしようとしている升酒屋の息子を待ち伏せて、身請けのお金百両を奪って殺そうとしている。

富蔵は、藤十郎の計画を見抜くが、藤十郎のお父さんに使えていて恩があるので、やめさせる。
そこまではもっともなんだけど、富蔵は、今は地道にやってるけど、実は泥棒で召し捕られ、入れ墨を入れられていて、藤十郎に、「どうせやるなら、もっと大きなことをした方がいい」といって、江戸城の御金蔵破りを持ちかける・・・

と書くと、はあ?という感じですが、これが、菊五郎さんの芝居で観るとすごくいい。
肝が据わった感じが男らしくてかっこいい。

で、いろいろあって、結局富蔵は捕まって牢に入れられるのですが、この場面も面白い。

黙阿弥は、幕末に代言人(弁護士)だった知人から資料を手に入れて、当時の牢屋の様子をお芝居で再現したそう。

舞台の後ろは全部格子になっていて、牢名主を初めとして、50人くらいの罪人がずらりと並んでいる。
その中には、牢名主を頂点とした厳しい秩序があり、富蔵は、管理職(?)になっている。
ここに、次々と新入りが入ってくる。
新入りの待遇は、持ってきたお金による。
お金がないと裸で踊らされて、その後もひどい目に。
大金をもってくれば「労ってやらねばなるめい」ということに。
お金がなくても若さと美貌であれば、これも待遇がいい。
スリで入所した菊之助さんは、「病気のおやじの足を揉んでおりやした」と自らアピール。
こちらも「労ってやらねばなるめい」ということに・・・

この牢のシーン、ビジュアル的にも内容的にも、なんというかアングラ演劇というか蜷川さんのお芝居とかみたいだった。

明日は、死罪という富蔵に、牢名主は、唐桟(縞)の着物と博多帯を与えて、立派な死を遂げてこいという。
そして当日、富蔵と藤十郎は、牢からの題目と声援を訊きながら、刑場へと向かうのでした。

※にほんブログ村というランキングに参加しています。今回の記事、面白いと思われたら、下のボタンのクリックをお願いします。

にほんブログ村 ファッションブログ 男性着物・和装へ
にほんブログ村