きもの男子通信

竺仙さんの「男物きもの」

浴衣や江戸小紋で有名な竺仙さんのサイトに「男物きもの」というページができていました。
http://www.chikusen.co.jp/product/season/mens.php

読んでみると、一番最初に以下の文章が。
「昔から男物のきものはお召か紬の先染め(糸染)と決まっており後染(生地の上から柄を染めあげる)きものは芸人さんのお召しになるものと言われておりました。」

・・・って、竺仙さんは基本染物のお店なのでは。

そして、その後は、以下のように続いています、
「そこでこの度男性がお召しになっても派手さの無い渋味のある着物を染めあげてみました。」

サイトに紹介されている男物は江戸好みの渋いもので、竺仙さんとしては「満を持して男物を発表」ってことなんだと思うけど、売る立場の竺仙さんが、「後染めのきものは芸人さんのお召しになるもの言われておりました」とまでいうのを読むと、やっぱり「あー、やっぱり男で染の着物って難しいんだな」って思う人もいるのでは。

自分が作っているのに、男性に素直に染めの着物を勧められない、竺仙さんの不器用さというか正直さ!

江戸っ子は、大変です。

竺仙さんの染めの男もの、個人的には、紬の長着の上に羽織として着ると、いいのでは、と思います。 (素材は縮緬です。)

特に堅めの紬だと、お対にすると、ちょっと厚ぼったくなるので、羽織を染めの着物にするとちょうどいいのでは。羽織が柔らかくても下が堅いと、なんというか、あまりなよなよした感じにはならないと思います。

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能 友枝明世の会「三輪」神遊@国立能楽堂

能楽師、友枝明世(ともえだあきよ)さんがシテ(主役)をつとめるお能「三輪(みわ)」を観てきました。


明世さんは超人気、ということは前から聞いていたのですが、「きっとチケット取れないだろう」と思って、一度も行ったことがありませんでした。
ところが、今回公演の数週間前に事務所に電話してみると、チケットがほんの少し残っていたのでした。
良かった!

さて、お話は・・・

奈良の三輪山に住むお坊さんのところに、毎日仏様に供える木とお水を持ってくる女の人がいました。
ある日、その人がお坊さんに「夜寒いので衣をください」と頼みます。
お坊さんが、住まいを尋ねると、「三輪の山の麓の杉の木の立っているところです」といって消えてしまいます。
その後、村人がお坊さんに「三輪山の杉の神木にお坊さんの衣がかかっていた」と知らせにきます。
お坊さんが、そこに行ってみると杉の木の陰から三輪の神様(女神です)が現れ、三輪の神様の伝説を舞ったあと、今度は天照大御神の天岩戸のお話を舞います・・・

明世さんは、最初の謎の女性(前シテ)と後半の神様(後シテ)の役です。
前半は、お能にはよくありますが、なんというか、さみしげな感じ。
途中の登場する村人が登場するところは、狂言の人(人間国宝の山本東次郎さん)が演じているせいか、普通のお能よりもリアル(?)な感じがしました。
そして、いよいよ舞台に置かれた杉の木に見立てられた作り物(木の枠に布を掛けたもの)から神様が登場。
この神様は、女性のお面に烏帽子、白い単衣の狩衣に赤い大きな袴(大口)という姿・・・つまり男装なのです。
この姿が、清らかで美しい!
これまでの(色々不思議なことは起きていたが)現実の世界から、別の世界へ。

三輪の山の神様の伝説を舞っている時は「自然界の精霊」という感じです。
次に、天岩戸の舞いに移り、まずはアマノウズメとして神楽を踊ります。そして、橋懸かりを渡って、左端まで行くと左腕を挙げ袖を翻し(「翁の型」というのだそう。お能の「翁」の人形に良くあるポーズです)、さーっと舞台に戻ってきて、こんどは天照大御神になってさらに高次元の世界へ。

普通、舞台に神様が登場しても、なかなか本当に神様と思うのは難しい・・・というかほとんど無理だと思うけど、今回は「あ、神様がいる」と納得した。

それは、以前、御殿場の方に行ったとき、大きな富士山を見て、「日本が戦争に負けるはずがない」と思ったのと同じ感じ。それと同じように、「これは神様なんだ」と思った。理屈抜きってことです。

今まで、実は、「お能って、お能を習ってない人が見てもあまり面白くないんじゃないかな」と思ってた。
でも、今回の「三輪」はお能を全く知らない人が観ても「神様を見た」と思ったに違いない。

あと「神遊」(かみあそび)というのは、三輪の小書(こがき:各流に伝わる演出方法)の一つで、先ほどの装束や翁の型などは、それによるそうです。

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「舞の会・・・京阪の座敷舞」@国立劇場

前に、新派の「京舞」という京都祇園の井上流の先代家元、4世井上八千代さんを主人公にした、お芝居を見て以来、井上流に興味津々。

今回、井上流の井上八千代さんが出演なさるということで、行ってきました。

「座敷舞」というのは、京都、大阪で生まれ、酒宴などの座敷で行われる舞として、江戸時代の後半くらいから発展したものだそう。今回の国立劇場での公演も小劇場で、屏風を立て、燭台にろうそくを灯して(本当に火がついている)いました。
井上流は、この座敷舞の流儀の一つです。他には、吉村流、楳茂都流、山村流があるそうで、
今回の「京阪座敷舞」にはそれぞれから、出演がありました。

八千代さん、だんだん先代の愛子さんに似てきてる気がする。以前は、「全然似てない!」と思ったけど。
そして、舞は・・・おいど(お尻)が落ちてる!しかもずーと同じ高さで。 「おいど落としなはれ」って本当なんだーと思いました。
本当にきちんとした舞です。
あまりにも折り目正しくて、これが花街で舞われているって不思議な気がします。
芸妓さんが舞うと、また違うのかも知れませんが。

ロビーでは、井上八千代さんの本も販売していました。
岩波から出ているのですが、装丁が綺麗!

こちらは外箱。


中は、都をどりの衣装風。かわいい!



他の方では、山村若有子さんが、印象に残りました。
引き摺りの衣装で、絵のように綺麗。ゆっくりとした動きで、なんというか、「動くスチール」みたいな感じなのです。
女性美降臨、という感じでした。
これを見たら、憧れて習いたくなる女性もいるのでは。
一方、「こりゃ自分には無理だわ」、と思う人もいそう。

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きものの勉強になる「会」

先日、友人に誘われて、「大寄せのお茶会」に。
お茶会の券を買っていくつかの茶席を回る会ですね。
券があれば、だれでも参加できます。

「気楽な会です」・・・と言われたのですが、実際にはかなり立派なお席で、来ている人も7割くらいが着物。

会場で別の友人(女性)にも会ったのですが、その人も着物でした。

その着物はとてもいい色の江戸小紋で似合っていたけれど、おはしょりが、おはしょりが・・・気になる!
で、でも言えない!本人は気にしていないみたいだし。

スマホで記念撮影したのを送ってほしいと言われたので、メールで送りました。

その後、しばらくして他の機会に会ったとき、本人が「写真見たら、おはしょりが変だったー」というので、内心ほっ。
と同時に彼女は「きちんとした着付け」のイメージを掴んでいるんだなー、と思いました。

大寄せのお茶会に行くと、一日で何十人もの比較的「きちんとした着付け」「ちゃんとしたコーディネイト」の着物の女性を見ることになるので、何度か参加すると、「きちんとした着物」のイメージがだんだん分かってくると思う。

あと、国立劇場とかの「踊りの会」でも沢山着物の人に会いますね。(ほとんどが女性ですが。)
こちらは、なんというか「かっこいい」人が多い!

お茶の会は、(色無地の人もいますが)訪問着とか華やかな柄の着物の人の率も高く、「踊りの会」の方は「ほとんど色無地みたいな付け下げ」のようなあっさりした着物が多いのですが、雰囲気は、踊りの会のほうが絶対派手。襟も抜きが大きめで。こちらも「きちんとした着物」ですが、なんというか「方向が違う」感じです。いわゆる「粋」ということかな。

たまーに、お茶会に踊りの会的な人がいると目立つし、逆もまた真なり、だと思います。

そして、個人的には、いい意味でこの中間に位置するのが、いわゆる「梨園の妻」的な着物だと思っています。お茶会にも踊りの会にも行けそうな感じ。(もちろん、着物の種類にもよりますが雰囲気として)

割と正統派の着物の場合、
<お茶会・・・梨園の妻・・・踊りの会>
というチャートで考えると自分の目指す着物の方向性が掴みやすいかも。
(「KIMONO姫」のような場合はまた別ですが。)

そういえば、以前このブログで、「きものの髪型(女子編)」という記事で、
「きもの美人になる!ヘアスタイル」という本では、
奥様+芸妓=梨園
って書いてあって、なるほどーって思った。
http://mathew.blog39.fc2.com/blog-entry-230.html?all
と書いてました。

こういう感覚は、ちょっと前まで「素人」「玄人」の違いと言われていたものに近いと思いますが(フェミニズム的にいうと「女性を素人と玄人に二分し、分断させていた」ってことか)、今の時代は、社会的立場というより、「テイスト」として、ある程度自分で決めてもいいのでは。

と、いろいろ書きましたが、そのテイストの違い自体がよくわからない、という人もいるかも。

まずは、両方の「会」に行ってみて、自分はどういう感じにしたいのか、考えてみるのも面白いと思います。

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オリンピック閉会式での小池さんの着物の着付け、についてのあれこれから考えたこと

リオ・オリンピックの閉会式で、東京都知事の小池百合子さんが、着物を着ていらっしゃいました。
その時の着物、というか着付けについて、日刊ゲンダイDEGITALに
「着付け師も「残念」 小池知事“リオ五輪着物”大失敗の理由」
という記事が載っていました。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188405/1

内容は、谷口さんという着付師の方の、小池さんの着付けと着物での立ち居振る舞いについてのコメントです。どういうコメントかというと・・・

1。帯の位置が3センチ高い。これは若い女性の締める高さ。年配の女性の場合は、体型が変わるので帯の位置を下げるのが常識。
2。肩や二の腕などが膨らんで身幅が大きく見える。これは、襦袢と、着物のサイズと素材が合わないからだろう。本来はもっと細身に着られるはずなのに残念。
3。裾が広がっている。着物の引き上げが不十分だったのではないか。
4。五輪フラッグを振る時、体を安定させるために両足を開いたのはやむを得ないと思う。しかし、着物に慣れている人なら、両足を開いて片方の足を少し後ろに引き、引いた足のつま先を内側に向ける。自分から見て両足が『ハ』の字形になり、奇麗な印象を与える。逆ハの字形はよくない。
5。両手を左右にだらりと下ろすのも作法に合っていない。両手は前で揃える。そうでなければ、両手を膝に添えるくらいの配慮が欲しい。

閉会式での小池さんの着物姿の写真には、ちゃんとして見えるものもあるし、「あれっ」と思うものもあります。屋外だから風が吹いたのかもしれないし、報道写真なので、普通はあまり撮られないような角度で撮られているのかもしれません。なので、よくわからない。でも動画で見たところ、着物と着付けはすごくおかしいとは思わなかった。

少なくとも「大失敗」ではないと思う。



でも、「ここをこうしたらもっと良くなる」というのは、もちろんあると思います。そういう意味で、谷口さんのようなコメントはありだと思います。

特に、五輪フラッグを振るとき、両足を開いてもつま先を広げず、「片方の足を少し後ろに引き、引いた足のつま先を内側に向ける。自分から見て両足が『ハ』の字形になり、奇麗な印象を与える。」というアドバイスは、目からウロコ!「閉会式の前に、だれかが小池さんにお教えしていたら・・・」と思いました。

ところで、このゲンダイの記事の着付師の方のコメントについて、君野倫子さん(文筆家・日本文化キュレーター・ディレクター・着物スタイリスト)が、ご自身のFacebookで、
『「帯の高さが3cm高かった」って!?3cmって何?もういい加減、こういう重箱の隅っこを突くようなこと言うのはやめようよ。・・・』
というお話を書いていらした。

https://www.facebook.com/rinko.kimino.5/posts/992968170801471?pnref=story

私は君野さんの本を読んでいて、普段着としての着物を推奨するスタンスに、共感していたので、ショックでした。

洋服だったら、ジャケットの丈が3センチ違ったら、かなり見え方が違うこともあるってことは多くの人が知ってるし、買ったりお直ししたりするとき考えますよね。

着物に限らず洋服でも、着るものについて、3センチの違いは大きいと思う。
そして、洋服だとそれが、多くの場合洋服自体のデザインで、固定的に決まってしまうんだけど、着物場合は、着付けでかなり自分で調整できる。

帯の位置、襟の抜き方、着丈の決め方などなど、同じ着物でもいろんな着付けができる。
着付けによって年齢や個性やTPOに会わせたディテールのデザインをすることができるわけです。

そういう意味で帯の位置もとても大事だと思う。

君野さんのFacebookの上記の文章には、19,000人以上の人が「いいね」をしています。
また、賛同のコメントも沢山あって、多くの人が、谷口さん(ゲンダイの記事の着付師の方)のコメントを、難癖、意地悪みたいに捉えているようでした。

でも、谷口さんは、問題点を指摘するだけでなく、どうしたら良いかも説明しているので、難癖や意地悪ではなくて、「アドバイス」だと思う。

特に小池さんは、元防衛大臣で東京都知事。そういう方が、オリンピックの閉会式に色留袖という礼装で、登場したのだから、できるだけベストの状態で出られるのがいいと思うし、小池さんはこれからも着物で公の場に登場する機会があると思うので、谷口さんのアドバイスはとても有用だと思います。

着物は、着付けが大事だし、これが実際なかなか難しい。
何回も何回も着て、いろいろ注意されて、だんだん身に付いてくるもの。
着物を着るどころか、着物姿を見ることも少なくなった現代では、最初からうまく着るのはほとんど無理だと思う。
それが面白いし、楽しいところだと思うんだけど、今の時代、アドバイスされても「うざい」と思う人が多いんだろうなー。

でも、着物について「着ただけでほめてあげるべき」ってことになると、たくさんの人が日々「イケてる・イケてない」、「ダサい・ダサくない」と考えている洋服との「かっこよさ」の差は、どんどん大きくなる気がします。
そうすると、なんというか、着物は「ファッション」じゃなくて「着てるのが素晴らしい民族衣装」になっちゃうね。

もちろん、着物に対するコメントには、勘違いや意地悪や、あるいは単なる意見の相違もあるとおもうんだけど、少なくとも自分が信頼できる人のアドバイスや納得できるアドバイスは、聞いた方がいいと思います。

・・・というようなことを本来なら、君野さんのフェイスブックへのコメントとして書くべきだと思うけど、19,000人以上の「いいね」がついていて、賛同のコメントにあふれてる中に書くのは、怖かった。

ほとんどの人は「ウザい」と思うだろうな、と思うから。
そして、理屈を重ねれば重ねるほど、ウザいと思われるだろう、とも思う。

じゃあ、どうすればいいのかと言うと、やはり、できるだけ、ウザいと思われないど努力をするしかないんだと思う。

たとえばさっきの帯の高さの件でいえば、
「洋服でもジャケットの丈が3センチ違えば、ずいぶん見え方も変わりますよね。それに、30代の人と60代の人が同じシルエットというのも難しい場合が多いと思います。」
みたいな、説明を加えるのがいいかもしれません。

だとしても、もう炎上しちゃってる中では、難しいと思う。タイミングも大事ですね。

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