きもの男子通信

菊五郎さん、すばらしかつた!四千両小判梅葉@猿若祭二月歌舞伎座

四千両小判梅葉は、黙阿弥作の白波(泥棒)物。

安政2年(1855年)に起きた、江戸城の御金蔵から四千両が盗み出された実話を元にしています。

なので、江戸時代だったら上演は無理ですが、明治18年の作品なので、登場人物の名前も実名だそう。
そして、明治の作品だからこそ、より「江戸情緒」にあふれている気がします。

最初の場面は、四谷見附の門外、お堀端のおでんの屋台。屋台の亭主は富蔵(菊五郎さん)。
そこに浪人、藤十郎(梅玉さん)が通りがかかる。この人、遊女に入れあげていて、お金に困り、この遊女を身請けしようとしている升酒屋の息子を待ち伏せて、身請けのお金百両を奪って殺そうとしている。

富蔵は、藤十郎の計画を見抜くが、藤十郎のお父さんに使えていて恩があるので、やめさせる。
そこまではもっともなんだけど、富蔵は、今は地道にやってるけど、実は泥棒で召し捕られ、入れ墨を入れられていて、藤十郎に、「どうせやるなら、もっと大きなことをした方がいい」といって、江戸城の御金蔵破りを持ちかける・・・

と書くと、はあ?という感じですが、これが、菊五郎さんの芝居で観るとすごくいい。
肝が据わった感じが男らしくてかっこいい。

で、いろいろあって、結局富蔵は捕まって牢に入れられるのですが、この場面も面白い。

黙阿弥は、幕末に代言人(弁護士)だった知人から資料を手に入れて、当時の牢屋の様子をお芝居で再現したそう。

舞台の後ろは全部格子になっていて、牢名主を初めとして、50人くらいの罪人がずらりと並んでいる。
その中には、牢名主を頂点とした厳しい秩序があり、富蔵は、管理職(?)になっている。
ここに、次々と新入りが入ってくる。
新入りの待遇は、持ってきたお金による。
お金がないと裸で踊らされて、その後もひどい目に。
大金をもってくれば「労ってやらねばなるめい」ということに。
お金がなくても若さと美貌であれば、これも待遇がいい。
スリで入所した菊之助さんは、「病気のおやじの足を揉んでおりやした」と自らアピール。
こちらも「労ってやらねばなるめい」ということに・・・

この牢のシーン、ビジュアル的にも内容的にも、なんというかアングラ演劇というか蜷川さんのお芝居とかみたいだった。

明日は、死罪という富蔵に、牢名主は、唐桟(縞)の着物と博多帯を与えて、立派な死を遂げてこいという。
そして当日、富蔵と藤十郎は、牢からの題目と声援を訊きながら、刑場へと向かうのでした。

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菊之助さんのパドドゥ、凄かった・・・・11月歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵」@国立劇場

なんだか、いつもやってる感じの「忠臣蔵」ですが、今回は、国立劇場開場50周年記念ということで、全段を10月から3カ月に渡って上演。しかも、あまり上演されない場面も含め、上演可能な場面をすべて網羅しているそうです。

私が見たのは、11月公演で、
 浄瑠璃 道行旅路の花聟
 五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
      同   二つ玉の場
 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
 七段目 祇園一力茶屋の場
でした。

一番印象に残ったのは、しょっぱなだったからかもしれないけど、お軽勘平の道行、とくに菊之助さんの踊り。

最前列の真ん中よりやや、下手よりだったので、菊之助さんの手相が見えるくらい良く見えました。

もう、「どや、どや、どや、これでどうやー」、という感じで、どんどん押してきます。上手いわー。
雰囲気としては、クラッシック・バレエの最後の方のパドドゥで、これまでのストーリーとは関係なくプリマが踊りまくる、みたいな感じ。

迫力がありすぎて、「お軽としてはどうなの?」という気持ちもしますが、今、乗りに乗ってる菊之助さんを見ることができて良かった!

鉄砲渡しの場、猪と間違われて打たれる色悪、斧定九郎は、松緑さんでした。
うーん。
この場面は、斧定九郎が意味もなくやたらいい男であることが不可欠である、と改めて思った。

与市兵衛内勘平腹切の場、口入れ屋の女将さん、良かったです。ちゃんとしてるんだけど、奥底にはすごみがあり、でも、極力それを見せない感じ。

一力茶屋では、又五郎さんが大活躍。
今回わかったのは、お軽の兄、平右衛門がお軽を殺そうとするのは、討ち入りの秘密を守るためもあるけど、「足軽の自分が参加するには、それくらいやらないと無理」という気持ちがあったということ、っていうかむしろそっちがメイン。(だって、お軽は由良之助に殺されると平右衛門は思っているのだから)
別に足軽の平右衛門が討ち入るすることを周りが期待してる訳ではなくて、平右衛門自身がどうしても参加したかった。

前にも書いたけど、「忠臣蔵」は、藩がお取り潰しになったために、ある意味身分から「自由」になった人たちが、自分の意思で、討ち入りに参加する話で、そこにある種の爽快感があります。
たとえ、最後に切腹するにしても、その時代には普通できなかった、自分の人生の選択ができた。

だから忠臣蔵は、「死に方」についてではなく、「生き方」についての物語だと思う。

吉右衛門さんの由良之助。
なんだか、すごく若がえってた。
永遠のヒーロー、吉右衛門さんの本領発揮、でした。

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歌舞伎鑑賞教室「新皿屋舗月雨暈―魚屋宗五郎―」@国立劇場くあ

行ってきました。



まず、最初に花道のすっぽんから、羽織袴の萬太郎さんが登場。周り舞台の仕組みや、見得や立ち回りや隈取り、ツケ打ちなど、歌舞伎の基礎知識を、実物を見せながら紹介します。特に面白かったのは、普段は黒御簾に隠れている笛、三味線、鼓、太鼓の演奏者の方々にも出てきていただいて、いろいろな音を出してもらっての説明。とっても勉強になりました。伴奏であると同時に「効果音」でもあることがよくわかります。

その後で実際にお芝居を見ます。演目は「魚屋宗五郎」。
黙阿弥作の明治時代の作品です。
明治時代に書かれた作品で特に世話物は、なんというか分かりやすく、江戸情緒が満載なので、初めて見る歌舞伎に向いている気がします。「河内山」とか「籠釣瓶」とか。たとえば「籠釣瓶」では、主人公の佐野次郎左衛門が田舎からでてきたという設定を生かして、茶屋の主人・立花屋長兵衛が吉原の仕組みを舞台で説明したり、というような部分もあり(これで観客にも吉原のしきたりがわかる)、江戸時代の作品ではそういうことはしないんじゃないかな、と思います。

お話は・・・なんと国立劇場のサイトに漫画であらすじが紹介されているので、そちらをご覧ください。
http://www.ntj.jac.go.jp/topics/kokuritsu/28/6160.html

魚屋宗五郎が橋之助さんで、女房おはまが梅枝さんなんだけど、梅枝さん、20代なのに、年増の女房役が似合って、なんだか大ベテランみたい。

台詞も多く、いろいろ大きな動きも多いんだけど、魚屋の女房の分別と地味さ、落ち着き、わきまえがちゃんとあるの。
女房メークも凄く似合ってる。
そのおかげで、ちょっと無理のあるストーリにも関わらず、お芝居全体がすごくリアルは雰囲気になっています。
江戸時代の魚屋の女房ってこんな感じだったんだろなって思わせる。

お屋敷のお女中の中村しのぶさん、いつもながら可憐ねー。

そして、気になる切符のお値段は、なんと!

1等席3,900円 2等席1,500円
学生 (全席)1,300円

是非観て!

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神霊矢口渡@国立劇場

行ってきました。


なんと前から一列目の席。

あまりにも前過ぎて見にくいかな、とちょっと心配しましたが、国立劇場の舞台は歌舞伎座ほど横に長くないので、問題ありませんでした。というか素晴らしかった。

「神霊矢口渡」の通し上演は119年ぶり(!)だそう。

平賀源内が書いた人形浄瑠璃の作品を歌舞伎に移したものだそうです。

なので、義太夫ばりばりでした。これもとっても良かった。
義太夫があると、役者の台詞が過度に説明的にならないし、音楽でもあるし。雰囲気が盛り上がって、歌舞伎の世界により行きやすくなる気がします。

平賀源内といえば、日本で初めての静電気発生装置「エレキテル」を作った人として有名ですが、「神霊矢口渡」は、全然科学的じゃない。というか、裏切ったと見せかけて実は忠義者、主君の忘れ形見を守るため我が子を犠牲にする夫婦、それに免じて「では、後日戦で」と見逃す敵役、美貌の若侍に恋する田舎娘等など、歌舞伎の王道エピソードが次から次へと現れます。

一幕、殺された君主新田義興の奥方とそのお女中がならず者に騙されて、人気のない国境の茶屋に連れて行かれます。いきなり貞操の危機!かなりきわどいので、ハラハラしたのですが、あまりやばい方向になる前に逃走。巡礼姿で若君をつれて逃げる忠義者、六郎役の又五郎さん、はまり役でした。人形のような若君が舞台に現れると客席からどよめきが。

二幕、裏切ったと見せかけて我が子を犠牲にする新田家の家老、兵庫之助役の吉右衛門さんがすばらしい。まさに「立派」という感じです。見れてよかった!

三幕、殺された君主、新田の弟、義岑(歌昇さん)と傾城うてな(っていう名前なんだ・・・。米吉さん)の二人は、落人というにはあまりに色っぽい。衣装も、いかにも道行という感じのペアルックだし。いつもはちょっと幼い感じの米吉さんがかなり大人っぽかった。二人ともお若いし、かなりの浮世離れした美男美女ぶりでした。

四幕、義岑に一目惚れの、渡し守の娘、お船(芝雀さん)。素朴な田舎娘かと思いきや、強欲な父に切られ、ひん死の重傷にも関わらず、父の手下の六蔵を刺して、義岑を掬うために櫓の太鼓を叩く、という「八百屋お七」を思わせる大活躍(火は付けてませんが)。最後は、海から新田義興の亡霊が大魔神のように現れるというすごい展開でした。
☆訂正:「海」じゃなくて「多摩川」です。矢口渡だもの。

本当に歌舞伎らしい歌舞伎でした。

上演のあと、友人に誘われて又五郎さんの後援会の催しに伺いました。又五郎さん親子三人の舞が披露されました。



こちらはくじ引きで頂いた、サイン入りの舞台写真です。



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八月納涼歌舞伎「祇園恋づくし」@歌舞伎座

幕見で観てきました。席にはかなり余裕が。



江戸っ子の指物師、留五郎(勘九郎)が、縁あって、祇園祭見物に京都の茶道具屋、大津屋次郎八(扇雀)のところへ逗留したが、京都と江戸の意地の張り合いでてんやわんや、みたいな話です。

最初、あまりにもあちゃらけた感じだったので、不安でしたが、だんだん調子が出てきました。

「京女」を演じる、女性軍ならぬ女形軍がノリノリ。歌舞伎では、悪婆でもなければ、女性はかなり控えめな言動のことが多いと思うけど、今回のお芝居は、脚本が新しいせいか(平成9年初演)、登場する女性達は、玄人・素人ともにかなり今風。一見女らしいけど、かなりさばけてる。
妻がお茶屋に乗り込んで、お座敷にまで入って夫を探しにくるとか、やっぱり従来の歌舞伎ではあり得ないストーリーなのでは。(私が知らないだけかもしれませんが。)

女形の方々も開放された感じで、のびのび演じてる気がしました。

やっぱり男女平等の時代に書かれた歌舞伎は、江戸時代の設定の話でも、そういう空気を反映するのだと思います。

あと、「京都の人」の描き方がかなりデフォルメされていて(「お愛想で誘ったら、ほんまに来よったー」、みたいな「京都のぶぶづけ」的な感じ)、「これ南座では上演できないのでは」、と思いましたが、初演は南座だそう。逆にそれだと、内輪ウケ、みたいな感じでよかったのかも。
東京で上演するとハラハラする。

勘九郎さん、声が亡くなったお父さんの勘三郎さんにそっくり。
楽しい話なのに、その声を聞いていると、悲しいような気持ちになってきます。
同じ気持ちで観ている人は、沢山いたんじゃないかと思います。

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