きもの男子通信

すごいよ藤十郎さん!曽根崎心中@四月大歌舞伎:夜の部

1)毛谷村
六助役の吉右衛門さん、かっこいい。
吉右衛門さんは、正義のヒーローを演じると、すごい「説得力」があります。福助さん(虚無僧に化けた怪力の女、後で六助に)のヘンさもイイです。

(2)廓文章
夕霧の玉三郎さん。
登場するだけで、客席からは「綺麗ねー」とのためいきが。
衣装がまた、綺麗。
玉三郎さんの衣装は「自前」だそうです。
今回の衣装は、こちらに紹介されています。
http://taizou.jp/blog/2009/03/post-74.php
舞台で見るほうが写真よりもっと綺麗よー。 7列目の17で見たからよくわかった。ふふ。

(3) 曽根崎心中
夜の部で、一番すごかったのは、曽根崎心中の藤十郎さん。
鶴のような、白鳥のような玉三郎さんの夕霧を見た後、藤十郎さんのお初(これも遊女)を見ると、最初、「たぬきみたい・・・」と思ってしまった。(失礼)

お初は「19歳」の設定。(藤十郎さんは80歳位。)

藤十郎さんのお初は、遊女だけど「かわいそう」という感じではなく、
「あたし、綺麗だしー。人気とかあるしー。カレシもいるしー。マネージャーもいい人だし」みたいな。ちょっと人気「キャバ嬢」っぽい感じ。
藤十郎さん、若さ炸裂!

その恋人の徳兵衛はまじめな人なのに、友達の九平次にはめられてお金をとられた上に詐欺師呼ばわりされ、町中でみんなにボコられてしまう。その惨めさのリアリティがすごかった。歌舞伎だと、主役の人はどんなときでも、ある程度かっこよかったりすることが多い気がするけど、ここではほんとに惨めに描かれている。

それを見た、お初の若さとエネルギーは次第に、心中という「プロジェクト」に・・・。

茶屋にやってきた徳兵衛を縁の下に隠して、みんなの前で、徳兵衛への愛、徳兵衛をハメた九平次への怒りを語るお初。そして縁の下で、そのお初の素足をさわる徳兵衛。(もうこの時点では、とっくにたぬきとは思っていない)
SONEZAKI2.jpg

愛だよ愛! 追い詰められた男と、それでも貫く女の愛。

プロ野球選手と女子アナとか、イケメン同士とかとは違うよ。

夜になってお初と徳兵衛は、心中するために御茶屋から逃げ出す。最初二人ともおどおどしているんだけど、花道の途中まで行くと、お初は突然、「きっ」となって、徳兵衛の手を引っ張って、走っていく。新しいヒロインの誕生!

・・・って藤十郎さん、56年前からやってるんだけど(今月の24日で通算1300回だそう)。
でも、すごい新鮮。
それは私がはじめて見たからだけじゃなくて、藤十郎さんの中で新鮮さが失われていないからだと思う。

実は、私、テレビで藤十郎さんが、「曽根崎心中は私が・・・」みたいに語っているのをみて、なんか「威張った感じの人」って思ってたんだけど、ほんとにすごかった。すいません、私が間違ってました。

56年前に登場したときは、本当に革命的だったと思う。(今でも十分衝撃的)

お初の強い新しい女性像、そして、他の役の人たちも、生きた人間の息遣いが聞こえる感じ。

生々しい舞台でした。

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