きもの男子通信

超フェミ・超クイア・・・田辺聖子著 「とりかえばや物語」

平安文学「とりかえば物語」の田辺聖子さんによる現代語訳です。「少年少女古典文学館」というシリーズの一冊になっています。
とりかえばや物語 (少年少女古典文学館 8)とりかえばや物語 (少年少女古典文学館 8)
(1993/07/22)
田辺 聖子

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この本を読んだのは、以前このブログでも書いたように田辺聖子さんの「源氏物語」がすばらしかったから。

「とりかえば物語」は貴族のきょうだいの男女が入れ替わる話であるということはなんとなく知っていて、確か高校の古典の参考書には、「平安末期の世相を反映した退廃的な作品」みたいなことが書いてあった記憶があります。

でも、田辺さんが取り上げるからには、いい作品なのかも・・・

そして、読んでみてびっくり、「いい」というより、驚きの名作でした。

まず、主人公二人は単に貴族であるだけでなく、お父さんはなんと権大納言という重臣(朝廷のナンバースリーくくらい)。
息子(秋月)が女の子のかっこをし、娘(春風)が男の子のかっこをしてることは、もちろん気になっているのですが、どちらもそれがとっても似合い、事情を知らない世間の評判がよいので、まんざらでもなく(ええっ!!)、そのままの姿で元服させてしまいます。そして、帝からの思し召しがあったため、二人とも女装、男装のまま宮中にあがることになるのです。

春風は、官吏として将来を嘱望され、なんと左大臣の娘と結婚までします。(そのときも、お父さんはなんとかなると思っている。)
秋月のほうは、院の一人娘である女東宮にお仕えしているうちに、男女の関係(?)になってしまい、東宮は妊娠・・・

読んでいて「これ、大丈夫なの」という場面の連続です。

この物語で面白いのは、男装している春風のほう。
ただ、男のかっこがしたいだけではなく、「学問をして、自分の力で、思うように生きてみたい」、そう思っている女性として描かれいてます。

次々とやってくるピンチ(なんと自分が妊娠したりもする)もかなりハード・ボイルドな方法で切り抜けます。

田辺さんは、あとがきで「女の生きかたが、たえず問われているおはなしなのだ」とかいていらっしゃいます。
まさにフェミニズム小説。

一方で、クイア小説ともいえます。
登場人物の恋愛感情も同性愛、異性愛では割り切れません。
たとえば、女東宮は、女と信じていたときの秋月は好きなのですが、男の姿になった秋月は好きではないのです。

全部読んだ後、その現代性にびっくり。
日本にこんなすごい物語があったのか、と思いました。
(英訳ってされてるのだろうか。されてなかったらぜひするべきだと思う。)

この作品が田辺聖子さんによって現代語訳されたことは本当に幸運だと思います。

ぜひ、読んでみて!

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