きもの男子通信

式能@都民芸術フェスティバル

江戸時代、武家の式楽(正式の行事や儀式の際に演じられる芸能)として演じられていた能は、「翁付五番立て」という形式で、陽が昇り「翁」という儀典的な能をしたあと、陽が沈むまで狂言を間に挟みつつ、五種類の曲目を演じたそうです。

ところが、独立行政法人日本芸術文化振興会の「文化デジタルライブラリー」には、「江戸幕府の公的な演能の記録を見ると、五番立に沿ったプログラムではありません」と書いてあって、本当のところはよくわかりません。

まあ、それはとりあえず置いといて、五種類の曲目は次のような順番になっています。

初番目物(神):神様がシテ(主役)の能。天下泰平、国土安穏の祝言がテーマ。

二番目物(男):「修羅物」ともいう。戦争に携わった者が落ちる修羅道という地獄に苦しむ武人の曲で、殆どが源平の戦いを題材としている。負けた方の話(負修羅)がほとんど

三番目物(女):女性を主人公にしたもの。鬘物ともいう

四番目物(狂):離別した我が子や夫を尋ねてさまよう狂乱物など。

五番目物(鬼):鬼、天狗、その他想像上の生き物などが登場。

さらに能と能の間に狂言が入ります。
(と、言われていますが、これは謡の本に載っている順番で江戸時代の上演の記録をみるとそうでもない、という説明もあります。どうなんでしょう)

現在では、この形式ではほとんど演じられていませんが、毎年「都民芸術フェスティバル」の「式能」ではこの形で演じられています。(一部と二部に分かれていますが通しでみると五番立てになります。)

というか、現代では、この形式で上演しているのは、「都民芸術フェスティバル」のときだけみたいです。

今年の演目は以下の通りでした。

≪第1部≫
能 宝生流  「翁」シテ   宝生和英
「高砂」シテ  今井泰行
狂言 大蔵流 「福の神」シテ 大藏吉次郎
能 喜多流  「経政」シテ  長島 茂
狂言 和泉流 「蝸牛」シテ  野村万作

≪第2部≫
能 観世流  「吉野天人 天人揃」シテ 山階彌右衛門
狂言 大蔵流 「箕被」シテ  山本東次郎
能 金春流  「枕慈童」シテ 高橋 忍
狂言 和泉流 「棒縛」シテ  野村万蔵
能 金剛流  「飛雲」シテ  廣田泰能
私は、「翁」が観たかったので、一部の方を観てきました。

「翁」は「能にして能にあらず」と言われ、能の古い形・・・というか能以前の形を今に伝えるものなんだそうです。演じる人も特別に体を清めたりするらしい。

正式の「翁付五番立て」では最初に演じられますが、さきほど書いたように、最近はこの形での能の上演が非常にまれになっていて、また「翁」が大事なものと考えられていることもあって、お正月とか特別な時以外、あまり上演されていないそうです。

なので、ぜひ観たかった。

「翁」のシテ(主役)は、神様的な存在で、天下泰平、五穀豊穣を祈るものだそうですが、筋はありません。

謡も不思議で「「トフトフタラリタラリ・・・」という意味がわからないことばがあったりします。不思議なものが不思議なまま残っているのが不思議ですね。

その他、今回観た中では、狂言の「福の神」のシテ(福の神役)の大蔵吉次郎さんが、印象的でした。

かなり小柄な方で、他の演者より一回り小さい感じ。それがテレビの「日本むかしばなし」に出てくるような「日本の神様」っぽかったです。

お能三つに狂言二つは、長いですが、あっという間でした。(途中、寝ちゃうからか・・・)

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