きもの男子通信

「呆韓論」としゃぶしゃぶと民藝と・・・

前回、ホテルオークラの本屋さんに入ったとたん「呆韓論」という本が目に入ったという話を書きました。

著者の室谷克美氏は、すでに「悪韓論」という本を書いていて、「日本人は韓国についてもっと知っておくべき」なので、「新たに注目すべきデータが問題を中心に取り上げた」そうです。

いろんな情報(?)が載っているのですが、「ウリジナルの暴走」という章があって、その中に「『しゃぶしゃぶも韓国起源』の珍説」という文章があります。(P142~)

まず、著者の友人が韓国でしゃぶしゃぶ屋に入ったところ、横の席にいた韓国人が日本語で「この料理は韓国人が考えだして、日本人に教えてやったのですよ」と口をはさんできた、というエピソードを紹介。「しゃぶしゃぶ韓国起源」説は誤りで日本起源であるとして、その理由として、以下のように説明しています。
i) 日本の高級すき焼き店(しゃぶしゃぶもある)の社長から、
「いくら腕の良い板前でも客の注文ペースに合わせて牛肉をあの薄さに
 一様に切って盛り付けることはできない。しゃぶしゃぶは電動の
 肉カッターが開発されてからできた新しい日本料理である」、という話を聞いた。
ii) しゃぶしゃぶが誕生したのは1952年。朝鮮半島は朝鮮半島の最中で、
 米国のキャンプから出た残飯を集めてきたから煮込んだ「部隊鍋(プデチゲ)」
 が最高のごちそうだった時代に、いくらなんでもしゃぶしゃぶはないだろう。

そして、しゃぶしゃぶは韓国起源という韓国人がいるのは、韓国で「すぐれた文物はすべて、朝鮮半島から日本列島に渡ったのだ」といった刷り込み教育が行われているからだ、と主張しています。

うーん。

「しゃぶしゃぶ」「ルーツ」というキーワードでグーグル検索してみると、一番最初に
 秀逸なネーミングで日本に定着、 モンゴル生まれの鍋料理「しゃぶしゃぶ」
という澁川 祐子さんという方のJBpressの記事(2011.11.11)が出てきます。
こちらによると、鳥取県出身の医師で民藝運動家である吉田璋也さんが、しゃぶしゃぶ誕生のキーパーソンであるとのことでした。

民藝とは何か (講談社学術文庫)民藝とは何か (講談社学術文庫)
(2006/09/08)
柳 宗悦

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記事の内容をまとめると、
・吉田さんは、第2次世界大戦中、吉田は軍医として北京に赴き、
 そこで「シュワンヤンロウ(涮羊肉)」という鍋料理を知った。
・「シュワン」は、すすぐ、ざっと洗うという意味。
 薄切りにした羊肉を湯にサッとくぐらせ、タレにつけて寒い冬に食べる
 北京の代表的な鍋料理。
・終戦後、日本に帰ってきた吉田さんは、京都に2年ほど住んでいて、
 そのとき、祇園の料理店「十二段家」の2代目主人、西垣光温さんに
 シュワンヤンロウの調理法を教え、メニューの開発にも協力した。
・当時、羊肉は手に入りにくかったため、牛肉で代用。味付けも日本人の口に
 合うようアレンジ。そうして完成したのが、しゃぶしゃぶの原型「牛肉の水だき」。
 (『民藝通信』2号(1950年10月3日発行)には、
 「吉田璋也先生御指導 牛肉水だき料理」という十二段家の広告が掲載されている。)
・シュワンヤンロウの起源はさらにモンゴルにさかのぼる。中国へ移住した回教徒を通じ、
 北京一帯に普及。
・しゃぶしゃぶの名づけ親は、大阪の「永楽町スエヒロ本店」の先代店主だった
 三宅忠一さん(この方も民藝運動に参加していた)。
 1952年、十二段家が売り出した「牛肉の水だき」を、自分の店でも取り入れる
 ことにしたが、名前にインパクトがないので、「しゃぶしゃぶ」と命名。
・1955(昭和30)年には、東京・赤坂にしゃぶしゃぶを中心とした日本料理店
「ざくろ」がオープン。しゃぶしゃぶが関東に進出。
 (ちなみに「ざくろ」の看板やマッチ箱をデザインしているのは、民藝運動の
 中心的人物の1人で染色家の芹沢銈介さん。ざくろ店内も民藝家具や、
 民藝の器で揃えられている。)


・民藝は、昭和30年代にブームとなる。出自において民藝と深い関わりをもった
 しゃぶしゃぶもまた、そのブームとともに全国に名が知られていく。
・吉田璋也が考案したしゃぶしゃぶは、吉田自ら民藝の実践の場として1962(昭和37)に開いた
 鳥取の「たくみ割烹」で現在も食べられる。
とのことです。

モンゴル→北京→日中戦争→民藝運動・・・まさに「食の文化史」です。
この記事の著者、澁川/祐子さんは、フリーのライターとして活動するかたわら、『民藝』(日本民藝協会)の編集などに携わっておられるそう。
単行本では「ニッポン定番メニュー事始め」という本を出されています。おもしろそう。

ニッポン定番メニュー事始めニッポン定番メニュー事始め
(2013/09/02)
澁川 祐子

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そして、この本についての、yomoyomoさんという方の「集合知との競争、もしくはもっとも真摯な愛のために」という書評が素晴らしい!

「面白いのは『元祖』とされる店から直接話を聞くことはしないというのを方針にしたことです。・・・(中略)・・・実際には『元祖』とされる店から証言を得たほうが遥かに楽だったでしょう。それも取材には違いないし、それにそうしたお店で聞ける話は『いい話』であることが多く、それに素直に乗っかったほうが読者受けがよいかもしれません。
しかし、著者は『元祖』とされる店が喧伝するストーリー、並びにそうした情報が集積されたネットの情報も同等に信用せず、ナポリタンやコロッケの章が顕著なように定説を疑うところから始め、愚直に文献をあたることで定番メニューの起源を探ります。
これは『元祖』とされる店の多くが嘘を吹聴しているということではありません。同時代にまったく別の人たちが別のルートで同じような料理にたどり着く話は本書にもありますし、自分の店の料理の自負と愛着が現実を『いい話』化させてしまうことは往々にしてあります。人間の記憶には常に整理と合理化が働くものです。」



「自負と愛着が現実を『いい話化』させる」って、ある意味、嫌韓中本にも当てはまると思う。そして「『元祖』とされる店が喧伝するストーリー、並びにそうした情報が集積されたネットの情報を信用」するのがネトウヨ、とも言える。

ちなみに「しゃぶしゃぶは電動の肉カッターが開発されてからできた新しい日本料理である」という説についていうと、「スエヒロ」のホームページに以下のような記述があります。

「永楽町スエヒロ本店では、しゃぶしゃぶ開発当初、すべての肉をスライサーを使わずすべて手切りにて提供してきました。
使用する包丁は、刃渡り37cm重さ600g以上と言うとても大きな包丁を使用しており、砥ぎに3年・肉切り3年は必ず必要とした、かなり熟練された職人の技が必要とされるものでした。(残念ながら、現在ではスライサーを使用してのご用意とさせていただいております)」



室谷氏は、「時事通信社入社。政治部長、ソウル特派員、宇都宮支局長、『時事解説』編集長など」を歴任」とのことです。

韓国の新聞「中央日報」の日本語オンライン版の記事にはこんな記述が

「先週東京のある大型書店で目につく新刊を発見した。本の題名は「呆韓論」。漢字の意味そのままに韓国を愚かであきれるほどむちゃくちゃな国と描写している。『どうせつまらないでたらめ作家の文だろう』という考えで著者のプロフィールを見て驚いた。とても有名な通信社のソウル特派員出身ではないか。」



今回は、自分で書いてて、文化と知性は、本当に大切だと思いました。
文化と知性についてこそ、「頑張れ、日本」といいたい。

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